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2026年4月7日

成年後見制度のしくみ|費用・手続き・任意後見と法定後見の違いをわかりやすく

成年後見制度の基本的な仕組みと利用が必要なケース

成年後見制度は、認知症・知的障害・精神障害などで判断能力が不十分になった方の財産管理や法律行為を、家庭裁判所が選任した後見人が代わりに行う制度です。本人の権利と財産を守り、安心して生活を続けるための法的な仕組みです。

利用が必要になるケースは、①銀行で預金の引き出しを断られた、②不動産の売却が必要になった、③遺産分割協議に参加する必要がある、④悪質な訪問販売で高額な契約をしてしまった、⑤施設入居の契約を本人が行えない、などの場面です。

法定後見と任意後見の2つの制度

成年後見制度には「法定後見」と「任意後見」の2種類があります。法定後見はすでに判断能力が低下した後に家庭裁判所に申し立てて開始する制度です。任意後見は判断能力があるうちに、将来の後見人を自分で選んで契約しておく制度です。

どちらを選ぶかは「今の判断能力があるかどうか」で決まります。認知症が進行してからでは任意後見契約はできないため、元気なうちに備えることが理想です。

法定後見制度の3つの類型と権限の違い

法定後見は判断能力の程度に応じて3つの類型に分かれます。

後見・保佐・補助の違い

「後見」は判断能力がほとんどない方が対象で、後見人にはほぼすべての法律行為の代理権と取消権が与えられます。日常の買い物以外の行為を後見人が代理します。「保佐」は判断能力が著しく不十分な方が対象で、重要な法律行為(不動産売買、借金、訴訟行為など)に保佐人の同意が必要です。

「補助」は判断能力が不十分な方が対象で、本人が申し立てた特定の法律行為についてのみ補助人が支援します。最も軽い支援類型で、本人の自己決定権が最大限尊重されます。認知症の初期段階ではまず「補助」を検討するのが一般的です。

法定後見の申立て手続きと必要な費用

法定後見を開始するには、家庭裁判所に申立てを行います。

申立ての流れと期間

①申立て書類の準備(申立書、本人の戸籍謄本、医師の診断書など)→②家庭裁判所に申立て→③家裁調査官による調査(本人・親族への面談)→④必要に応じて精神鑑定→⑤審判(後見人の選任)→⑥後見登記。申立てから審判まで通常2〜4ヶ月です。

申立てができるのは、本人、配偶者、4親等以内の親族、検察官、市区町村長です。身寄りのない方については市区町村長が申立てを行います。

費用の内訳

申立て費用は合計1〜2万円(収入印紙800円、登記手数料2,600円、郵便切手3,000〜5,000円、戸籍等の取得費用数千円)です。医師の診断書は5,000〜10,000円、精神鑑定が必要な場合は5〜10万円が別途かかります。

弁護士や司法書士に申立て手続きを依頼する場合、報酬として10〜20万円が加わります。複雑なケースでなければ自分で申立てることも可能です。家庭裁判所の窓口で手続きの案内を受けられます。

後見人の報酬と継続的な費用

後見人の選任と報酬の目安

後見人は家庭裁判所が選任します。親族を希望する場合はその旨を申立て書に記載できますが、最終的な判断は裁判所が行います。近年は専門職(弁護士・司法書士・社会福祉士)が選任されるケースが全体の約7割を占めています。

専門職後見人の報酬は月額2〜6万円が目安です。管理する財産額によって変動し、財産1,000万円以下で月額2万円、1,000〜5,000万円で月額3〜4万円、5,000万円超で月額5〜6万円が相場です。親族が後見人の場合は報酬を請求しないことも可能ですが、裁判所に報酬付与の申立てをすることもできます。

任意後見制度の活用方法

任意後見契約の締結手順

①信頼できる後見人候補を決める(家族、友人、弁護士、司法書士など)→②後見人に委任する内容(財産管理、介護サービスの契約、医療の同意など)を話し合う→③公証役場で任意後見契約を公正証書で締結する→④法務局に登記される。費用は公証人手数料11,000円+登記手数料2,600円+公正証書作成費用です。

契約は「判断能力が低下した時」に発効します。その際、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立て、監督人が選任されてから任意後見がスタートします。

成年後見制度の利用を開始する最適なタイミング

任意後見契約は「元気なうちに」が鉄則です。認知症の初期症状が見られ始めてからでは、契約能力に疑義が生じる可能性があります。理想的には65歳を目安に、遺言書の作成とセットで任意後見契約を検討しましょう。

法定後見の申立ては「必要が生じたとき」に行います。銀行が預金の引き出しに後見人の存在を求めた場合、施設入居の契約に後見人が必要な場合、不動産の売却が必要な場合などが典型的なタイミングです。「まだ大丈夫」と先延ばしにしていると、いざというときに審判まで2〜4ヶ月待つことになるため、早めの相談をおすすめします。

成年後見制度の利用を検討する際は、地域の「権利擁護センター」や「成年後見センター」に無料相談できます。弁護士や司法書士が対応し、制度の概要から申立て手続きまで一貫してサポートしてくれます。社会福祉協議会が運営している場合が多いため、まずはお住まいの社会福祉協議会に問い合わせましょう。

成年後見制度に代わる選択肢として「日常生活自立支援事業」があります。判断能力が不十分な方の福祉サービスの利用手続き、日常的な金銭管理、重要書類の預かりを社会福祉協議会が支援する事業です。成年後見制度ほど権限は広くありませんが、手続きが簡単で費用も月額1,000〜2,000円程度と安価です。

成年後見制度に関するよくある質問

Q. 後見人を途中で変更できますか?

法定後見の場合、後見人の解任は家庭裁判所に申し立てる必要があり、「不正な行為、著しい不行跡、その他後見の任務に適しない事由」がある場合に限られます。単に「相性が悪い」という理由では解任は認められません。任意後見の場合は、判断能力があるうちであれば契約の解除が可能です。

Q. 成年後見制度を使わずに親の財産を管理する方法はありますか?

家族信託(民事信託)という方法があります。判断能力があるうちに信託契約を結び、財産の管理・運用を信頼できる家族に託す仕組みです。成年後見制度より柔軟な財産管理が可能ですが、身上監護(介護サービスの契約など)は含まれません。弁護士や司法書士に相談して、どちらが適切か判断しましょう。

Q. 後見人が横領するリスクはありませんか?

残念ながら後見人による不正は皆無ではありません。対策として、家庭裁判所が後見監督人を選任して定期的にチェックする体制があります。また「後見制度支援信託」や「後見制度支援預金」の利用で、日常使用分以外の財産を信託銀行等に預け入れ、後見人単独では引き出せない仕組みも導入されています。

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